聖書のわかちあいについて
聖書のわかちあいには、決まった方法があるわけではありません。しかし何らかの指導がなければ、勝手なおしゃべりにもなる可能性があります。ここでは一番ポピュラーに用いられている南アフリカのルムコ研究所の七段階法を、参考までに記載しておきます。なおこれは神言会の文書（英文）を、私が日本管区の文書の一部として翻訳したものです。
聖書のわかちあいの方法
１．七段階法（セブンステップ法、南アフリカのルムコ研究所）
第一段階：主をお招きする
参加者が席に着いたら、進行係（ファシリテーター）はその中の誰かが自発的に「主を招く」ように求めます。わたしたちの間に復活された主が現実におられるという信仰が、わたしたちの黙想の前提であり基礎となります。わたしたちは肉となられ、わたしたちの間に住んでおられる御言葉にお会いしたいのです。わたしたちはイエスの約束を思い起こします。「二人または三人がわたしの名によって集まるところには、わたしもその中にいるのである。」（マタイ18章20節）
第二段階：聖書を読む
進行係は選んだ聖書の箇所を知らせます（まず書名、そして章を）。進行係は参加者全員がその「章」にたどり着いたことを確認してから、初めて「節」を知らせます。参加者全員が箇所を見つけたあとに、進行係は誰かが自発的に聖書を朗読するように求めます。朗読の後には、しばらくの沈黙が続きます。
第三段階：聖書の箇所を味わう
進行係は続けます。「聖書の箇所を味わいましょう。どの言葉が特別に皆さんに響きましたか。」こうすることによって、聖書の箇所のほぼ全体に再び耳を傾けることになる。参加者は自由に、それぞれが感銘を受けた言葉やフレーズを、声に出して読み上げます。「節」全体を読むのではなく、短いフレーズか短い単語を読み上げることです。参加者はこれらの言葉を沈黙のうちに、三回か四回繰り返すことが勧められます。一人が読み上げたあとに、必ずしばらくの沈黙を守ることが、非常に大切です。そうすることによってメッセージが「染み込む」事が可能となります。この段階を経た結果として、「単純な」言葉が新たな意味をとることもしばしばあります。
第四段階：沈黙を守る
個々の言葉に時間を費やした後に、聖書の箇所全体をゆっくりともう一度朗読します。そして進行係が、沈黙の一時を告げますが、正確な時間を、例えば三分間などと、知らせておきます。この時間を、神のみ前で沈黙のうちに過ごす時とするように勧めます。「わたしたちは神に開かれています。」「わたしたちは自分自身が神に愛されるようにします。」「わたしたちは神がわたしたちを見つめるようにします。」この沈黙の時間の間に助けとなる方法は、特定の言葉を繰り返すことです。黙想、ただ神に開かれていること、神を待つこと、神と共にいること。「実際、神はわたしたち一人一人から遠く離れてはおられません。」（使徒17章27節）
第五段階：心の中で聞いたことを分かち合う
沈黙の時間のあとに、進行係は次の段階を告げます。「これからわたしたちは心の中で聞いたことを分かち合います。」わたしたちは互いに信仰の体験をわかちあい、互いに信仰において成長するためにそうするのです。聖書全体は、イスラエルの民とイエスが、わたしたちと「分かち合う」、神体験にほかなりません。わたしたちは友人たちに対して人生の様々な局面を話すことが出来るのに、いったん神の体験を他人と分かち合うとなると、とたんに恥じ入るというのもおかしなものです。しかしこの聖書の黙想の方法において、誰でも自然にまたプレッシャーを感じることなく、わかちあいという「危険」を犯すことを学ぶのです。
第六段階：互いに探し求めます
進行係は「共に探し求めましょう」と告げます。参加者が福音の光に照らされて、生活について振り返る時間です。この段階で、基礎共同体は毎日の問題について話し合います。例えば、近所のある人が助けを求めているとか、子供たちが信仰教育が必要だとか、次の日曜日には司祭がいないので、誰が集会祭儀を司会するのかとか、不一致をどうやって解決するのかとか、街灯を直すためにはどうしたらよいのかとか、という問題です。これらの問題は、朗読され分かち合われた御言葉と、直接の関係がなくても構いません。しかし、こういった問題が表面化し、また解決が探られるのは、神の現存の雰囲気のうちに、お互いの信頼が芽生えているからなのです。神がそこにいることを許される時、物事は違って見えるのです。
第七段階：共に祈ります
進行係は、参加者に祈るように求めます。聖書の言葉、神の御言葉の様々な体験、日々の問題。こういったことは全て、祈りのための力となるのです。ある人たちは、祈りのうちにおける分かちあいが、他の人たちと交わる一番簡単な方法だと感じています。この黙想の間に特に重要だと感じたことを、参加者がそれぞれの祈りのうちに取り入れることが求められます。最後に、皆が知っている公式の祈りを一緒に唱えます。